習志野電鉄の憂鬱

減量調整の現代

 近年、習志野電鉄は様々な要因から輸送人員が減少傾向にあります。1996年の東葉高速開業の際はそれほどダメージを受けなかった(むしろ東葉高速・習志野電鉄間の乗り換え流動分やや増えた)のですが、それでも2000年代に入ってから減少傾向にあります。
 これに追い打ちをかけるかのように、2008年の団塊世代の引退、更には2018年以降は18歳人口の減少により大学進学者も減少することが予想されます。習志野電鉄は接続する各社各線(東葉高速、京成、新京成)への乗り換えによる通勤需要の他、沿線各所に存在する学校への通学需要で成り立っており、これらの旅客が減少するのは痛手であります。
 2010年代に入り、1990年時点と比べて乗車人員が20%近く減少していることから、2016年から2017年にかけて全編成を3両編成化する減量調整が実施される予定です。
 実は減量調整の発想自体は2004年に新造された100系の頃からあり、当時はあくまで「利用者が『減ったら』2010年代に全編成3両編成しますね」ということだったのですが、いざ2010年代に突入して、この当時予想した未来が現実となってしまったのが何とも悲しいところです。

閉塞した未来

 さて、2004年から2007年にかけて100形電車を新造、そして2016年から2017年にかけて700形電車の機器更新を実施、更に2020年からは新造後16年が経過した100形の機器更新を進められていく予定です。というわけで、10年以内については概ね計画が立てられていることになりますが、もっとその先、20、30年後の習志野電鉄はどうなるのでしょうか。それを考えてみたいと思います。
 まず更なる減車の可能性についてですが、3両編成から一部を2両編成にする場合、3両編成と2両編成を交互に運転するとすれば、17%程度の輸送力減少が見込まれます。あるいは思い切って全面的に2両編成にした場合は33%の輸送力減少が見込まれます(いずれも本数は現状維持で計算)。現段階で利用状況に合わせた減量調整が実施されている(輸送力が適正化されている)ので、あっても20~30年後ではないか、といったところです。実施については状況を見ながら決定するでしょう。
 そして最後が「乗るための列車」の可能性です。これまではただ目的地に移動したい人のために列車を運行していましたが、「習志野電鉄に乗るための列車」を設定して、利用者減少による減収を補うことも考えられます。しかし、開業以来設定したことのないタイプの列車ですので、他社での状況を見ながら、ということになるでしょう。

 習志野電鉄は今後について次のように語っています。「LCDといった2020年代に相応しい車両への更新、船橋・習志野市内の連続立体交差事業の推進、全線の複線化、急行運転の実施、京成・新京成線への乗り入れ、海浜幕張方面延伸構想の具体化等、多くの構想の実現に向けて一歩一歩努力することが、厳しい競合の時代の中で引き続き当社線を利用していただき、また、新しい旅客を開拓するためにも必要である。」
 また別の人は「今の習志野電鉄は逆境の中でじっと爪を研ぎ澄ましている隼のような状態です。いつしか皆さんをあっと驚かせるような大エンタメ鉄道をお見せしたいと考えています。」とも語っています。

*習志野電鉄は実在しない鉄道です。

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